松田優作さんの遺影に使われた写真の話。

By | 2019年12月10日

先日、現在、弊社の方で「松田優作氏のDVDの製作を進めております。
その映像のなかに、宅間様が撮影された松田優作氏の遺影、
ならびに遺影をもとに作成されたポスターが写りこむ場面がございます。
つきましては、こちらをご許可いただきたく、ご連絡をいたしました。

というメールが届いた。

 

映像制作する人って、画面の中に写った写真の著作権を持つ人に対して、こういった許可申請をしているのか

これって結構大変な作業だなぁ〜と思ったわけです。

 

実は松田優作さんの遺影の写真は、僕が集英社の雑誌で撮らせてもらった写真なのです。

松田優作さんが亡くなられた次の日に

「宅間さんの写真を遺影に使わせてもらえませんか?」という連絡が来た時はびっくりしたのを今でも覚えています。

 

ところが遺影に使われた写真が

雑誌やマスコミ各社から使用させて欲しいという依頼が、何社からのもあったのです。

 

最初は各社から写真の使用料を頂いていたのですが、

 

いや、待てよ・・・

 

確かに優作さんの写真を撮ったのは僕なんだけれど

 

優作さんが亡くなられて悲しんでいるご家族がいるのに

 

僕が、お金をもらっていいものだろうか?

 

と素朴な疑問が湧いてきたのです。

 

そして

「いや、そんなことしててはダメだろう!」という想いになり

 

優作さんの事務所に

僕が撮った写真のすべての著作権を譲渡させてもらったのです。

 

もちろん、喜んでもらえたのでやっと僕の心が落ち着きました。

 

 

遺影に使われた写真が掲載された雑誌の撮影をする前に、現場を仕切っている関係者から

「インタビュー中の写真しか撮ってはダメです」

「インタビュー終了後にカメラマンがここに立って下さいとか、あれこれ指示して撮る撮影はNGです」

絶対に守って下さい。

という強いお達しがあったのです。

 

撮影場所は京都のホテルの1室でした。

僕は部屋の壁に黒ケント紙を貼り

部屋の電気を消して真っ暗にして

トレペ越しに定常光ライトを1灯だけ照らして

黒バックを背景にした松田優作さんが、1灯だけの光の中でインタビューを受けてる姿が浮かび上がるようにしたのです。

 

ストロボを使用しなかった理由は、

この日は映画の宣伝のための撮影日なので

多分、各社のカメラマンがそれぞれの部屋で

インタビュー中の撮影をする時に

ストロボをパシャパシャ飛ばすと思ったのです。

 

もし、僕だったら

 

朝から夕方まで自分が話をしている時に

 

ストロボをパシャパシャ飛ばされたら、いい加減いやになるだろうな〜

 

と思ったので、定常光ライトにしたのです。

 

定常光ライトは直に当てるとまぶしいので、

トレペ越しにライトを当てて眩しさを軽減しました。

 

部屋の壁中に黒ケント紙を貼ったので、

真っ暗い空間に

トレペ越しの定常光ライトの光が本人を照らしているだけです。

 

その空間の中で、僕は黒い服を着て

部屋の一番隅から望遠レンズでインタビューを受けてる優作さんをカメラで狙ったのです。

 

なので、ストロボは飛ばない

カメラマンの僕の姿もほぼ見えないので

インタビュー中のご本人は、写真を撮ってるカメラマンの存在はまったく気にならないで

インタビューに集中できたと思います。

遺影に使われたこの写真は、インタビュー中に微笑んだ時の1カットです。

 

 

このカットを撮った時は、カメラのファインダー越しに

「僕が知っている映画の中の松田優作イメージとはまったく違う、なんてやさしい微笑みなんだろう」と思いながらシャッターを切ったのを覚えています。

 

そして無事対談終了!

僕は「いいカットが撮れた〜」と安堵していました。

 

部屋の照明がつけられて

撮影スタッフ全員で「お疲れさまでした」とお礼を言ったわけです。

 

すると・・・

 

松田優作さんが望遠レンズを付けたカメラを持ってる僕を見て

 

「このセット、君が考えたの?」って言ったのです。

 

僕は「うわ!なんか気を悪くされたのかな!どうしよう!」

と、超〜〜〜緊張して

 

「はっ、はい。僕です。申し訳ありません」と一言うのが精一杯でした。

 

この時はもう緊張度合い自分のマックスを超えていました(笑)

 

するとですね

 

優作さんが

 

「いいね!」と微笑んでくれたのです。

 

その「いいね!」で体中の力が抜けて

感動〜マックスになっていたのです(笑)

 

するとですね

 

優作さんが

 

「なんか撮りたいカットないの?」って言ってくれたのです。

 

僕は心の中では「撮りたい!」と気持ちがマックスだったのですが(笑)

 

 

撮影前に何度も、その場を仕切っている関係者の方から

インタビュー中の写真しか撮ってはダメ

インタビュー終了後にカメラマンが指示したりしてダメ

と注意されていたので

 

ドアの横にいるその方に小さい声で「大丈夫でしょうか?」と訪ねたのです

 

すると本人みずから

 

「いいよ!」って言ってくれたのです。

 

この時は

「エッマジで!やった〜!」という

驚き、うれしさ、感動がミックスした気分でドキドキだったのですが

「ここ冷静に、冷静に!」とハヤる気持ちを落ち着かせて

 

レンズを300ミリの望遠から85ミリに持ち変えて

優作さんの間近から

「タバコ吸ってるところ撮らせてもらってもいいですか」

「ドアの横に立ってもらってもいいですか」

と、ほんの数分でしたけれど

 

「本当はこんなカットが撮りたい!」と思ってた写真を

おもいっきり撮らせてもらえたのです。

 

最高〜にしびれる時間でした。

 

数分の至福の撮影時間が終わって「ありがとうございます」とお礼を言って

 

そこで終わりだと思ったわけです。

 

ところが・・・

 

なんと・・・

 

編集スタッフと僕を

「〇〇というお寿司屋にいるからいらっしゃい」と誘ってくれたのです。

 

僕も編集者も一瞬なんのことか理解できずに「目が点」です(笑)

もちろん、お寿司屋さんに行きました。

 

ところがですね

 

お寿司屋さんの椅子に座ってから

 

頭の中が真っ白になってしまって

 

何を食べたか?

何を話したのか?

 

まったく記憶にないのです(笑)

 

 

とにかく、松田優作さんを撮影させていただいたあの時間は

僕にとって至福の時間でした。

 

 

撮影後のお寿司屋での時間は、

 

政治家ではないんだけれど

 

「記憶にございません(笑)」

 

 

それでは明日も1日

うカメラマンには来たるで

あなたも僕もハッピーカメラマン!

 

 

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カメラマンを目指して25歳で会社を辞め、試行錯誤しながら独学で30歳でプロカメラマンとしてデビュー。

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今までに雑誌(SPUR/装苑/LEE/CanCan/MOREなど84誌と週刊朝日/+act./ViVi/with/大人のおしゃれ手帖/ザ・テレビジョン/non-noなど51誌の表紙)CDジャケット(aiko/矢沢永吉/Every Little Thing/TOKIO/今井美樹/織田裕二/水谷豊 その他)写真集、広告などでポートレートを中心の撮影をしています。

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4 thoughts on “松田優作さんの遺影に使われた写真の話。

  1. ラカルト・ニュー5D

    宅間様
    個人的には今まで読んだ記事の中で、五指に入る面白い内容でした!
    貴重なエピソードを公開して頂き、本当にありがとうございました!
    「記録」にございません
    の方じゃなくて良かったですね(笑)

    Reply
    1. TAKUMA Post author

      ラカルト・ニュー5Dさんへ
      喜んでもらったようでよかったです(笑)

      Reply
  2. ますいしんいち

    タクマさんへ
    とてもいいお話を聞かせていただき、感動しました。
    想いというものは伝わるものですね。今日もありがとうございます。

    Reply
    1. TAKUMA Post author

      ますいさんへ
      はい、プロフェッショナルな想いは伝わりますね。

      Reply

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