モデルとのコミュニケーション

１０年くらい前の話ですけど、以前僕のアシスタントだったA君の話。

A君がフリーになってから数ヶ月後、相談がありました。

「宅間さんがせっかく仕事先を紹介してくれたんですけど、

みなさん最初の１回は声をかけてくれるんですが、

２回以降の依頼がないんですよ、

僕、こんないい機材で撮ってるのにどこが悪いんでしようか？」という内容だった。

僕の事務所では、アシスタントが旅立つ時は

僕の事務所と仕事関係があるクライアントさんや

撮影に関して色んなスタッフさんの住所録を

「これは君の宝モノを見つける時に役に立つ地図だから」といってプレゼントします。

それと、僕が仕事をしているクライアントさんの中で

アシスタント君が「このクライアントさんの仕事をしていです」と要望があったクライアントさんに、

「僕のアシスタントの◯◯君がフリーになります、小さな仕事でいいですので１度、◯◯君に撮影するチャンスを与えて下さい」という、お願いメールをします。

このお願いは、殆どのクライアントさんがOKしてくれます。

話が逸れたけど・・・・

A君が僕が紹介してあげたクライアントさんから仕事をもらって撮った写真を見せてもらいました。

確かにスタジオ撮影ではライティングもいいし、

カメラも僕のより最新のカメラでず～といいものを持っていました。

どうしてフリーになったばかりなのに、

僕よりいいカメラを持ってたのか？と聞くと

A君はフリーになったお祝いに、親が最新カメラ一式を買ってくれたらしいのです！！

ところが、

写真を見て感じたのが写ってる被写体が無表情なのです。

とにかく生きた表情の写真が数枚しかなかったのです。

A君は、僕よりいいカメラを手見入れたことで舞い上がっていたと言ってました。

「宅間さんのテクニックはすべてマスターしているし、

機材もず～～～といい、これでいい写真が撮れない分けがない」と・・・

ところが、

彼は撮影する時に、被写体になってる人に喜んでもらおうという気持ちに掛けていたのです。

「こんないいカメラで撮ってるんだから、いい写真が撮れないわけがない、俺って凄い！！」って・・・思いながら撮影していたというのです。

つまり、

いいカメラで、ただシャッターを押すという作業をしていたわけです。

カメラの前にいる写真を撮らせてもらってる人に

「いい表情を撮って喜んでもらおう」という気持ちでシャッターを押していなかった。

だから、

カメラマンと被写体との心の交流ができていなかったということ。

どんなにいいライテイングでいいカメラで撮影してても、

ただシャッターを押してるだけ。

A君はこの日、僕と色んなことを話して

「大切な事を忘れていました」と反省していました（笑）

＊そりゃぁ機材は大切だけど、人を撮る時に一番大切なことは、心の交流（コミュニケーション）をするということなのです。
「喜んでもらおう」という気持ちを大切に！

このA君の出来事があってからは

アシスタント君達には

僕の撮影テクニックやライティングを学ぶのも大切だけど

撮影する時の、僕と被写体とのコミュニケーションも

「よ〜く見てるように」と言うようにしました。

それでは、今日も１日「笑う門には福来たる！」で自他共栄の精神で過ごしましょう。

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